Rough English Here |
|
|
|
|
|
12/14, 2001: 「もうちょっと具体的に」を追加して 「Gingerみたいのは今までなかったの?」に加筆.
12/5, 2001: ページ公開
[]
Gingerはどこがすばらしいのか?
PCやインターネットを越えたかどうかは疑問だけど,少なくとも僕にとっては かなりの衝撃だった"Ginger"こと"Segway" (手っ取り早く情報をたどるには,Ginger Japanがお勧めです).
考案者のDean Kamen氏はとってもすごい電動車椅子 "iBOT"の開発者としても知られています (島を所有してたりして相当なお金持ちらしいですね).
GingerはiBOTで培ったバランスとりの技術を, 極めてシンプルなコンシューマ向け製品として昇華させたというとらえかたもできますね.
Ginger自体の良し悪しについては,様々な視点から前向き/後向きのいろんな 議論が噴出しています. が,とりあえずGingerの実用性の面はさておき,僕の心をとらえたのは 次のような点です.
「静的な安定性を捨て去ることで,車輪型でも 小型化と不整地踏破能力の両立 が可能なことを示してくれた」他にも気に入った点は多々あるんですが,一番はこれです.
以下,ちょっと説明してみます.
いきなりロボットの話になりますが,例えば人が生活しているような屋内 環境で動きまわるロボットを考えた場合, 足回りを小さく作って小回りを効くようにしたい,という要求があります. ごっつい4輪車なんかだと,狭いところに入り込めない場合があるからです. 最小旋回半径が1mもあるようなロボットでは,狭い部屋の中を自由自在, というわけにはいかないですよね.
ところが,車輪を小さくすると段差の踏破能力が著しく低下するという ジレンマがあります.「屋内環境だと段差なんてないじゃん」と思う人も 多いと思いますが,ちょっと部屋を見回してください.部屋と部屋の境目には 大抵数センチの段差がありますし,床の上には座布団や本が置いてあるかも しれません.これらの数センチの段差が意外とやっかいなのです.
このジレンマを解決するにはいくつかのアプローチがあります.
- 対向2輪+キャスター
このタイプはポピュラーだと思うんですが,キャスターの大きさが小さい と段差を乗り越えられません.だからといってキャスターを大きくすると ロボットも大きくなってしまいます.サスペンションを入れたり, 特殊なアタッチメントを付けることでなんとかしようというアプローチを とることになります.僕も今までいろいろ小細工を考えていました.
- 3輪以上で全方向移動型
動輪が3輪以上あると足まわりは大きくなりますが,全方向移動型にする ことで小回りが効くようになります.ただし全方向移動と段差の乗り越え を両立させるのはなかなか難しいようです.
- 2足歩行にしてしまう
静的安定性をほとんど捨てることで,とても小回りが効くようになるという 効果があります.屋内環境は2足歩行である人間の活動を前提に設計されているので, 究極的には最も適している可能性が高いです. ところが現状では,機構が複雑になりがちで, 技術的にも歩くだけで精一杯という感じです (最近はもうちょっとマシかな?).このように様々なタイプを並べてみると,Gingerのような倒立振子型の 位置付けが見えてきます.
すなわち,Ginger型(倒立振子型)は(1)のタイプから邪魔なキャスターを取り去って しまうことで,小型化と高い不整地踏破性能を達成しようという アプローチであると見なすことができます. 同時に静的な安定性は失ってしまいます(必要なときだけ"つっかえ棒"を 出すようなことも考えられますね). これはある意味で通常の車輪型と2足歩行型の中間に位置するアプローチであると 言えるのではないでしょうか.
Gingerみたいのは今までなかったの?
もちろん倒立振子型は,なにもGingerがまったくはじめてというわけでは ありません.ロボットの分野ではかなり前から倒立振子型のものが 試みられています.これについては,みなさんから情報をお寄せいただきました.
- 油田研@筑波大のロボット(山彦シリーズの一部)
- 平行二輪車ロボット 山藤研@電通大
- 2足歩行型脚車輪ロボットなど 松本治氏@産総研
- 一球車 @本田技研 アイデアコンテスト 1990年
- ファンタジー(不安立子)バイク @本田技研 アイデアコンテスト 1990年
- ジャイロ型一輪ロボット @早稲田 1984年
ただし,倒立振子型にすると不整地踏破性能が高まるという主張が 過去になされていたかどうかは知りません・・・と書きましたが, 一輪ロボットの論文にはしっかりと「不整地踏破性能が高まる」 という主張がなされていました.しかも実機でバリバリ動くようです.
手元にある「山彦くらら」の論文(1996年,ロボット学会誌)中には, 凹凸のある路面では,キャスタ付きの4輪車に比べて キャスタに加わる力による外乱を受けないので,直線走行時のふらつきが減少した, という記述がありました.なるほどなぁ.
Gingerのしくみ
Gingerの真似っこを考える前に,まず分かる範囲で技術的なデータを まとめておきます.間違ってるところや追加情報がありましたら, (できれば出典を示して)ご指摘ください.
- 最高速度: 20km/h
- 最大航続距離: 17km(理想的条件では28km) (NiMH電池使用時)
- ペイロード: 110kg
- 本体重量: 36kg
- 大きさ(Platform): W63.5 x D48 x H20 (cm)
- モータ: 独自に開発したブラシレスモータ(2馬力相当)
- トランスミッション: ギア比24:1の2段ヘリカルギア
- センサ: 5つのジャイロ(圧電振動ジャイロ?)と傾斜センサ(数は不明)を 搭載.ジャイロは本来3つで済むが,冗長性を持たせている.
- バッテリ: NiCdとNiMHの2種類を用意.制御回路とともに一体型のケースに納められている
- 制御回路: 2枚のボードが協調して動作.ただし片方が故障しても大丈夫な能力をもっている.
- 電子キー: キーコードの他,チューニングパラメータを保存可能.128bit暗号を使用.
- シャーシ: アルミダイキャスト製.放熱器を兼ねている.
どうすれば作れる?
Gingerのように,段差に斜めに乗り上げても安定して走行できるようなものは 果たして自作可能なんでしょうか?とりあえず機構は至極単純ですが・・・おおざっぱに考えて,以下のものを用意すればできるのかなぁ,なんて夢想中.
- 3軸分の圧電振動ジャイロ
- 2軸分の傾斜センサ
- ギア付きサーボモータ+ロータリエンコーダ,2組.
- 大きめの車輪
- 適切な制御則(って結局これにつきるか).
もうちょっと具体的に
Gingerのしくみについてもうちょい考察をすると,ピッチ方向(前後方向)の バランスは制御でなんとでもなりますが,ロール方向(左右方向)のバランスは 人間の能力に頼っていることが分かります.
坂道の途中で旋回している映像なんかを見ると,一目瞭然です.このためロボットの足まわりに使おうとした場合,高い不整地踏破性能を 確保するためにはロール方向のバランス制御機構を追加する必要があると 思われます.
そんなわけでちょっと考えてみたんですが,図のようにパラレルリンク機構を つけて上体の姿勢がぶれないように制御するといいんじゃないかと思います.
この場合,ダイナミクスを厳密に考えなければ,ピッチ方向とロール方向の バランス制御を独立に行うことができる可能性もあります.
ただし欠点としては,ロボットの上体の重量配分をちゃんと考えて,重心を 真ん中に持ってくる必要があります.そうしないとロール方向のバランスを 取るために,常にモータでトルクを発生し続けなければなりません.
これを回避するために,ロール方向のバランス機構にはクラッチを追加して,
ってな感じにするのがいいんじゃないかと考えています.
- 平地を走行中はクラッチでがっちり固定して,左右にはぶれないようにする
- 不整地で左右の安定余裕が失われてきたら,クラッチを切って, モータによるバランス制御を行なう
話は変わって,ちびっこGingerに搭載するためのジャイロと傾斜センサを 調べてみました.傾斜センサはサーボ傾斜センサが良さそうだけど, 10万円くらいするので却下(基礎データを取るには欲しいかも).
ジャイロはこんな感じ.
- 村田製作所 ジャイロスター ENCシリーズ
- S.T.L.Japan ジャイロセンサ
- Silicon Sensing Systems(Gingerで使ってるジャイロの会社)
傾斜センサはこんな感じ.あまり見つからず.昔TDKかどこかでチルトセンサ 作ってなかったかなぁ?
次回の更新につづく・・・
このページに関するコメントをお願いします
Copyright © 2001 KOMORIYA Takeru リンクはご自由に (参考) →開発レポートにもどる